げんき通信 Vol.31 令和5年6月23日発行

ご存じですか? サルコペニア

  みなさんは日常生活の中で次のような症状を経験されたことはありますか?
・いすから立ち上がるときに何かにつかまらないと立つことができない。
・ペットボトルやビンなどの蓋を開けることが難しい。
・何もないところで頻繁につまずいたり転びやすくなった。
・横断歩道を青信号で渡りきれないことがある。
・手すりにつかまらないと階段が上がれない。
・腕や脚が細くなったような気がする。
・半年前に比べて体重が2~3㎏ほど減ってきた。
 以上のような症状はサルコペニアが原因かもしれません。

サルコペニアとはなにか

サルコペニアは、Sarx(筋肉)とPenia(減少)というギリシャ語を組み合わせた造語で、主に加齢により全身の筋肉量と筋力が減少し、身体機能が低下した状態をいいます。
私たちの筋肉の量は、ピークである20代を過ぎると10年間に男性は約2㎏、女性は約1㎏ずつ減っていくといわれています。このような変化は腹筋、背筋、 お尻、太もも、ふくらはぎといった歩行や姿勢の維持に関与する筋肉に多くみられ、その結果として冒頭で紹介したような症状が出現してしまうのです。
関連する言葉に「フレイル」がありますが、これは加齢にともなって身体能力が低下していることに加えて、精神心理面・社会生活面の問題なども含めた広い概 念で、要介護状態になる前の「虚弱な状態」です。サルコペニアはフレイルの最大の危険因子と考えられており、放置しているとフレイルから要介護状態へと進 む可能性があります。

サルコペニアの原因

サルコペニアは原因別に、一次性サルコペニアと二次性サルコペニアに分けられます。
① 一次性サルコペニア
 加齢以外に明らかな原因がないものをいいます。
② 二次性サルコペニア
 加齢以外の要因をはらんでいるケースです。その要因ごとにさらに3つに分類されます。
 ア.活動量に関連するサルコペニア:寝たきりや運動不足が要因となって筋肉量が減ることで起こります。特に近年では、コロナ自粛で外出する機会が減ったことで活動量の低下が起こり、サルコペニアが進行するケースが増えています。
 イ.疾病に関連するサルコペニア:心疾患やがん、外傷など病気やケガが要因となって引き起こされます。
 ウ.栄養に関連するサルコペニア:エネルギーやタンパク質不足などが原因となります。また、服用している薬の副作用によって、食欲不振を起こしている方も該当します。

若い人でも要注意!サルコペニア予備群

 65歳以下の人でも、デスクワークや自動車に頼る生活習慣などによって、筋肉が著しく減っている場合があります。若い人の中にもサルコペニア予備群がいるので、注意が必要です。次のタイプに当てはまる人は特に注意しましょう。
①メタボで脚が細いタイプ  メタボや肥満を医師から指摘されて食事制限を行っているが、運動を全くしていないといった場合です。このタイプは、筋肉の減少と肥満の両方を併せ持つ「サルコペニア肥満」と考えられます。
②若い女性  ダイエット目的で食事制限だけを行い運動をしないと、脂肪だけでなく筋肉も少なくなってしまいます。
 

サルコペニアのセルフチェック

「サルコペニアの症状かも」と不安になった場合、自分でチェックする方法があります。次の①~③のセルフチェックで2項目以上該当した場合は、サルコペニアの可能性が高いと判断できます。
①指輪っかテスト
 ア.いすに座り、両足を床につけます。
 イ.前かがみになり、利き足でない方のふくらはぎの一番太いところを、両手の親指と人さし指で囲みます。なお、利き足がわからないときは、両足でチェックしてください。
※指で作った輪っかとふくらはぎとの隙間が大きいほど、サルコペニアの可能性が高くなります。
②開眼片脚立位テスト
 ア.素足になり、滑りにくい床に立ちます。
 イ.両手を腰に当てます。
 ウ.片足を床から5cmほど上げ、そのままキープします。
※テストを行うときは、転倒時のリスクを考えて危険のない場所で行うようにしましょう。また、転ばないよう、すぐに掴めるものが近くにあると安心です。
※片足立ちは60秒を目標にキープしましょう。立っていられる時間が15秒未満の場合は注意してください。特に8秒に届かなかったら要注意。筋肉量が低下し、サルコペニアの可能性が高いと考えられます。
③5回立ち座りテスト
 ア.ひじ掛けのないいすに座り、両手を交差して胸に当て、足は肩幅程度に開きます。
 イ.いすに座った状態から、反復して立ち座り動作を5回繰り返し、かかった時間を計測します。
※5回立ち座りする動作が12秒以上かかった場合はサルコペニアの可能性があります。

サルコペニアの予防法

サルコペニアの原因は加齢に伴うものもありますが、運動不足や食事に偏りがあることも原因のひとつです。サルコペニアの予防には、食事と運動、どちらも重 要です。運動では、筋力トレーニングやウォーキングなどを行い、筋肉量の低下を防ぎます。また食事では、筋肉量を維持するための食べ物をさまざま取り入 れ、バランスの良い食事を心がけましょう。
※食事の取り方や自宅で手軽にできるトレーニング方法など、当センター主催の公開講座にて詳しくご紹介します。
『理療研修センター公開講座のご案内』
『防ごう! サルコペニア~いつまでもいきいきと過ごすために~』
開催日・開催会場
7月19日(水) 札幌市北区民センター
8月4日(金) 北海道札幌視覚支援学校附属理療研修センター
8月17日(木) 札幌市西区民センター
8月30日(水) 苫小牧市福祉ふれあいセンター
9月5日(火) 旭川市障害者福祉センター おぴった
9月15日(金) 帯広市市民活動交流センター
9月26日(火) 札幌市白石区民センター
※開催時間は各会場とも13時30分から15時30分です。
※受講料は無料で、事前申し込みが必要です。詳しい内容はホームページでもご確認いただけます。
※公開講座に関するお問い合わせ、受講申し込みは、理療研修センターまで電話またはメールでお願いします。


お問い合わせは・・・
北海道札幌視覚支援学校附属理療研f修センター
TEL(011)533 - 3253
メールアドレス ahaki@popmail.hokkaido-c.ed.jp

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