2022年6月19日

研修講座 『脳循環改善及び不眠に対する鍼を中心とした複合療法』 開催

 吉川はり物療院(元筑波大学理療科教員養成施設長)の吉川恵士先生をお招きし、「脳循環改善及び不眠に対する鍼を中心とした複合療法」をテーマに研修講座を開催しました。
 過去2回、平成8年度と17年度に低周波鍼通電療法をテーマに講師を務めていただきました。今回も現代医学的視点による手技療法と刺鍼を中心に講座を進めていただきました。

 午前は、脳機能は理療の世界においても近年のトレンドであるとし、コロナ禍で急増したうつ病や不眠への対応が求められているとお話がありました。
 先生の表現で「体表から唯一頭の中が覗ける部位」として後頭下三角が紹介されました。
 後頭下三角は、大後頭直筋・上頭斜筋・下頭斜筋に囲まれる三角形の領域で、床は環椎の後弓となります。この領域には主に後頭下神経や椎骨動静脈・大後頭神経があります。
 後頭下筋群の筋緊張緩和を目的に寸6−3番鍼を用い、軸椎棘突起周囲への刺鍼転向法による刺鍼が紹介されました。

 午後は、自律神経機能是正のためには神経線維が出入りする椎間孔へのアプローチが重要とし、近接する横突棘筋・棘間筋・横突間筋への刺激が有効であると紹介されました。
 手技では四指頭を棘突起に平行に置きそのまま上下に線状揉捏されていました。
 また、最長筋など比較的大きな筋の慢性的な過緊張では、筋のコンパートメント状態がが疑われるとの説明がありました。
 これを改善するためには、筋間の筋膜への刺鍼が有効であるとし、最長筋外縁の下方斜刺を紹介していただきました。また、指腹を使ったろとう揉捏も紹介していただきました。
 筋緊張緩和を目的としたアプローチの考え方として、表層へは揉捏、中間層へは圧迫、深層へは刺鍼が望ましいと示されました。
 今回は、ほぼ実技の講座であったことから、受講者の方々からは「すぐ担当している患者さんの治療に活かしてみます」との感想が聞けました。

 次回の講座は、7月10日に、「アーユルヴェーダと養生」というテーマで行います。受講をお待ちしております!
吉川先生


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