2022年7月31日

研修講座 『はじめてのかんたん脈診&経絡治療』 開催

 神宮前鍼療所院長、経絡治療学会会長の岡田明三先生をお招きし、「はじめてのかんたん脈診&経絡治療」というテーマで研修講座を開催しました。平成21年度、旧高等盲学校時代にも講師を務めていただいた岡田先生からは、今回も大変学びの多いご講義と実技指導を賜りました。
 午前は、脈診の歴史とその意義、気血・津液や六部定位脈診と脈状診の概要、脈診時の正しい指の当て方などについてご説明いただきました。
 六部定位脈診では、寸口は横隔膜より上、関上は横隔膜周辺、尺中は横隔膜より下の状態を表すことや、脈状診では浮沈・遅数・虚実の具体例などについて詳しく説明していただきました。
 六部定位脈診の指の当て方は、まず母指は陽池に置いて固定します。そして橈骨茎状突起の一番高い部に中指を当ててこれを関上とすることを強調されていました。次に、その遠位に示指を当て寸口、近位に薬指を当て尺中として構えるのが正しい構えであるとの説明がありました。また、指に力が入りすぎて浮脈と誤認されがちなことが留意点とありました。
 具体的な診かたは、脈状について左右の示指同士・中指同士・薬指同士・左右の示指中指同士・左右の中指薬指同士のように比較して診ていくとのことでした。
 初めはよく分からなくても日々の臨床に取り入れていき、身体の変化を脈状の変化でも捉えられるようになることが大切であるとご提言いただきました。
 午後は、岡田先生による受講者全員の脈診体験、経絡治療のデモンストレーション、六部定位脈診の実技などが行われました。
 受講者の中に橈骨動脈が寸口部で二分している「双関の脈」の方がおり、先生からはこのようなケースはまれでは無く、この場合脈が弱く触れるので留意するようにとお話しがありました。
 デモンストレーションでは問診、脈診、切経、腹診などから証を立てた後、腹部・下肢・背腰部への刺鍼を見せていただきました。先生が脈診を行う際、脈だけでなく関連した身体各部の状態も頻回観察していたところが印象的でした。鍼は全て浅刺置鍼で、ご自身で研いだ銀鍼を使用されていました。
 まとめでは、岡田先生から、「脈には嘘がない」「脈を診てお腹を診る、脈を診て足を診るなど、診断に脈診を使っていることを患者さんにも理解してもらうことが重要」など脈診の有用性・汎用性は広く、積極的に取り入れていってほしいとのご示唆をいただきました。

 次回の講座は、8月20日(土)・21日(日)に「筋の触察と評価・運動療法〜下部体幹・下肢」というテーマで行います。受講をお待ちしております!  




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