令和5年7月30日

研修講座 『眼科・耳鼻科疾患に対する鍼灸・手技療法の実際』開催

 


 7月30日(日)の研修講座は、埼玉医科大学医学部 客員教授、東京有明医療大学 客員教授 医学博士の山口 智先生をお招きし、
「眼科・耳鼻科疾患に対する鍼灸・手技療法の実際」をテーマに講義と多くのデモンストレーションをご紹介いただきました。
耳鳴り・難聴に対する治療では、耳周囲、頸部の諸筋、三叉神経、末梢穴へのアプローチを組み合わせた治療が望ましく、特に「頸がネックである」と強調され ていました。耳鳴り調整点として、風池と完骨を底辺とした逆三角形の頂点で板状筋上の部、また内耳血流の改善を目的に星状神経節刺鍼が有効であると説明が ありました。

 眼疾患に対する鍼灸治療では、持続効果は弱いものの、「眼がすっきりした」「はっきり物が見えるようになった」など直後効果が明らかなことが示されまし た。耳鼻科治療同様に頸部への刺激が有効な例として、天柱が三叉神経とつながりがあることから、この部の刺鍼で眼疲労や近視の改善がみられること、緑内障 患者では、太衝への刺鍼で眼圧低下が起こること、耳介への指圧で眼圧低下と視力改善が起こることなどが紹介されました。
 
  医療連携に関しては、近年、鍼灸が種々の診療ガイドライン中で推奨される治療として挙げられるようになってきている一方、「医師の鍼灸に対する意識調 査」によると、まだまだ理療に対する理解は低いとのことでした。難治性の頭痛や線維筋痛症における疼痛などでは、理療を含めた専門医を中心とする医療チー ムとしての対応が望ましいことが話されました。

 最後に鍼灸治療による生体反応は、疾病や症状を有する患者群に対して生体を正常な方向に向かわせる作用を有し、これが伝統医療の特長であると確認されま した。そして、あはきの更なる啓発と普及を進め、伝統医療と現代医療の連携によって患者に適切な説明と満足度の高い医療を提供していくことが、国民の QOLの向上や健康寿命の延伸につながるとのご提言がありました。



 



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