令和5年9月3日

研修講座 『日本はり医学会スタイルの鍼灸治療〜認知症やうつ症状を中心に』開催


 9月3日(日)の研修講座は、和歌山県より、はり・きゅう・小児はり中宮院 院長、日本はり医学会会長の中野正得先生をお招きし、「日本はり医学会スタイルの鍼灸治療〜認知症やうつ症状を中心に」をテーマに開催しました。
 午前は認知症について取り上げていただきました。まず、人体は自然界の縮図であるとし、雲一つない晴れ渡った空のように頭脳が澄んで思考・判断・記憶な どが行えることを清空機能と呼ぶと説明がありました。何らかの影響で清空機能が維持できなくなると認知症となり、その原因には、脳への清陽の不足と濁陰の 混入の大きく2つがあるとのことでした。診察点として盆の窪の右側(概ね瘂門と天柱の間)が示され、この部の圧痛や硬結を丁寧に観察することが重要である と説明されました。
  治療法としては、この部の施術をはじめ、大鎖骨上窩(欠盆)や顎下三角への手技、奇経治療からは奇経灸をご紹介いただきました。奇経灸では、督脈や腎の働きを補うために、後渓−申脈と照海−列欠が選択されていました。
 午後はうつ症状について取り上げていただきました。まず、経絡治療から診た精神活動について、霊枢・本神篇から詳しく説明いただきました。精神活動の中 枢は心であり、肝魄の統制不能からもたらされる七情の乱れが大きく関わるとのことでした。基本的にうつ病は心虚証で、パニック障害は心実証に相当すると話 されました。治療法としては、身柱から至陽までの圧痛部へのお灸や上中下の丹田の調整法等についてご紹介いただきました。
 今回は、経絡治療の視点での病態把握に始まり、明日からの臨床に即、活かせるよう、上述の治療法に加えて、うず気功の術式等もご教授いただきました。随 所で今回のテーマに加え、東洋医学の歴史や生命の神秘に関する話題等も交えていただき、大変内容の濃い、学びの多い研修講座となりました。



 



 



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