令和6年2月4日
研修講座 『男性における不妊と更年期障害』 『呼吸器ウイルス感染症のいま』開催
2月4日(日)に開催した研修講座についてご報告いたします。
午前は、NTT東日本札幌病院副院長の伊藤直樹先生をお迎えし、「男性における不妊・更年期障害の臨床」をテーマにご講義をしていただきました。
まず、不妊症の定義は、通常の性交渉を有するカップルにおいて1年以内に妊娠がない場合であるとご説明がありました。また、不妊カップルの半数には男性不妊症が認められ、その原因には精巣自体の機能不全と視床下部あるいは下垂体の機能不全があると示されました。
男性不妊症は無精子症、乏精子症、精子無力症、性機能障害、射精障害などに分類され、それぞれの病態に応じて治療が行われています。乏精子症と精子無力症の原因には精索静脈瘤が最も多く、治療により精液所見の改善が約80%、妊娠率が70〜80%であるとのことでした。
男性更年期障害(LOH症
候群)は、加齢に伴う精巣機能低下症で、血中テストステロンの低下とそれに関連する症状を特徴とする症候群であるとご説明がありました。主な症状には、ひ
どい発汗、よく眠くなる、いらいらする、筋力の低下、ゆううつな気分、ひげの伸びが遅くなった、性欲・性的能力の低下等で、個人差も大きいとのことでし
た。
診断には血中テストステロン値の測定、自覚症状、他覚所見の評価を指標としており、特に自覚症状の定量的評価には、身体的症状、精神的症状、性機能症状の17問からなる質問によって症状を点数化するAMSスコアが用いられるとのことでした。
男性更年期障害に対しては、わが国では主に男性ホルモンの補充療法によって健康の保持が機体できるとのことでした。
私たちのもとを訪れる患者さんの中にも不妊症や更年期障害に悩んでいる方が潜在していることが十分考えられます。最後に今後は更に理療師と泌尿器科医との連携が重要であるとのご提言がありました。
午後は、国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンターの西村秀一先生をオンラインにてお迎えし、『呼吸器ウイルス感染症のいま』をテーマに、主に新型コロナウイルスについてご講義をしていただきました。
まず、ウイルスについて念頭に置くべきは、「細胞のあるところにウイルスあり、細胞のないところにウイルスなし!」ということでした。加えて、「正しく怖れること」がキーワードとして強調されました。
怖がり過ぎ・脅し過ぎから、無駄を重ねる結果となったこととして、新型コロナウイルス対策にエボラ出血熱の対策をあてはめてしまったこと、「専門家」が発
信する情報にふりまわされてしまったこと、新型コロナウイルスを花粉同等のもののように存在するとの誤認が多かったこと等々、多数挙げられました。
一方、全く対策を講じずに感染者・死亡者を多数生んでしまった他国のケースについての紹介もありました。
適切な対策のためには、ウイルスの特性・感染様式・感染経路等、確固とした知識に基づいた「安全率」とリスク回避がポイントであると示されました。
ある飲食店の対応として、換気を最も重視する一方、アクリル板なし・アルコール消毒なしという事例があげられ、これが理想的な感染対策であったと紹介されました。
マスクについては、完璧な予防が期待できるものではないが、大きな飛沫は防ぐことは可能で、感染を広げないためという点で重要であると話されました。
また、今後について、ワクチンの普及と感染が蔓延した今では、集団免疫があるため、基本的に症状は軽症となると示されました。ワクチン接種は高齢者や基礎疾患のある方は前向きに検討して欲しいとのことでした。
最後に、「新型コロナウイルスだけ特別扱いするのは、もうやめにしましょう。」とのご提言がありました。
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