令和8年7月12日

第1回医学研修講座  『手の痛みと最近の治療』 『様々な脱毛症とその最新治療』 開催


  7月12日(日)、第1回医学研修講座が開催されました。今回は午前と午後の2部構成で、それぞれの分野の第一線でご活躍されている先生方をお招きし、臨床に直結する最新の知見についてご講義いただきました。

 午前は、『手の痛みと最近の治療』というテーマで、札幌南整形外科病院 札幌手外科・骨研究所 所長 射場浩介先生をお招きして、日常臨床で遭遇することの多い手の障害と、その最新治療について解説していただきました。
 転倒時に手を突いた時に発症する代表的な骨折としてはコーレス骨折(橈骨遠位端骨折)がありますが、比較的若い世代では、舟状骨骨折が多いそうです。た だ、この骨折は初期のX線検査でも判別しにくく手の捻挫と誤解されることがあるようです。また手首の小指側に痛みが現れるTFCC損傷(三角線維軟骨複合 体損傷)も、長らく原因不明とされやすかった背景があるため、これらの病態に関しては医療従事者による注意深い観察と適切な見極めが不可欠です。
 さらに、主に更年期前後の女性に発症する手の障がいを総称して、「メノポハンド」と呼び、この病態には、変形性指関節症や手根管症候群などの疾患が該当し ますが、近年の研究から女性ホルモン(エストロゲン)の減少との関与が示唆されているという、興味深い知見も紹介されました。また、高齢女性にみられるこ とが多いヘバーデン結節やブシャール結節は、手をよく使う人に発症しやすいとか、遺伝が関与するとか言われていますが、原因がまだ明確に特定されていない というのが現状のようです。ただ、これらの病態に共通して言えるのは、早い時期から適切な保存療法を行うことが重要であるということであり、日頃から患者 さんが訴える手のトラブルに耳を傾ける大切さを改めて実感する内容となりました。

 午後は、『様々な脱毛症とその最新治療』というテーマで札幌医科大学皮膚科学講座 医学博士 佐藤知世先生をお招きして、皮膚科領域から脱毛症をテーマにご講義いただきました。
 「最近、髪が抜けてきて……」という患者さんの切実な不安や異変にいち早く気づき、受け止められるのは、長い施術時間を共に過ごすマッサージ師や鍼灸師の先生方です。
 現在、脱毛症治療はJAK阻害薬などの登場によって歴史的な進化を遂げています。治療の選択肢が大きく広がる今だからこそ、ネットの噂に惑わされない 「エビデンス(科学的根拠)に基づいた正しい知識」を持つヘルスリテラシーが、私たち医療従事者には不可欠であるとのことでした。
 佐藤先生からは、「正しい知識を持ち、患者さんの心に寄り添いながら、適切な医療へ繋ぐ架け橋になってほしい」という力強いメッセージをいただきまし た。目指すのは単に髪を生やすことだけではありません。患者さんの不安を安心に変え、その人らしい人生を支える「身近な健康伝道師」としての温かいアプ ローチと役割の重要性を深く学びました。
 今回の講座は、デリケートな悩みや見落とされやすい疾患に対し、正しい知識を持って患者さんの心に寄り添うことの大切さを改めて実感する大変有意義な機会となりました。

 次回は「頸部及び胸郭上部の局所解剖と臨床症状」というテーマで講座を開催いたします。複雑な構造を持つ頸部から胸郭上部にかけての局所解剖を丁寧に復 習・整理した上で、臨床で頻繁に遭遇する「頸椎症」や「胸郭出口症候群」をはじめとした各種疾患について深く学びます。解剖学的な根拠に基づいた、明日か らの臨床にすぐに活かせる実践的な内容となっております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。






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